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平成ノート

100825 / days

図書館で借りた本「日本の商業デザイン
 
懐かしさ溢れる大正・昭和の広告やパッケージなどのデザインが載っている。
この手の本は借りるだけでなく、手元にもいくつか持っていてたまにヒントを貰う事もあるのだけれど、今回、この本を借りてみたきっかけは、活字以前の文字のデザインについて興味を持ったから。
 
僕らの幼少期にはすでに活字に溢れていたから、教科書は教科書体で書かれていて、ひらがなや漢字などを習うとき、それらを手本に書き写して練習したものだ。
 
だから、綺麗な字っていうのは、いかに活字に似ているか、というのが基準になっていた気がするし、書き順に気をつける事はあっても、筆脈(虚筆)に気を配りながら文字を覚えた人はあまりいないはず。
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この本の時代のデザイナー(という呼び方がない時代も含め)たちの、文字の手本は、筆で書かれた活きた文字ばかりだっただろうから、筆脈なんて書き順同様に、自然に理解していたはず。
なぜなら、筆脈理解してないと、こういう風にはデフォルメしないだろうな、という、現在のタイポグラフィには見れないような作例がいくつも載っていたから。
 
折角だったので、いくつか書き写してみた。
 
ベジェ曲線の仕組みを理解する際に、色んなロゴをトレースしたように(または、海外のエディトリアルを分解してグリッドシステムを学んだように)、他人のデフォルメした文字を書き写すのは、ただ眺めるよりも、遥かに色々なことを吸収出来た。どういう意図で作られたか、どういった美意識を持っていたのかを追体験出来る。
 
真似る事から始まって、そこから離れる事を経由して、新しい物を作ろうとする訳だけど、更に新しい要素を取り入れようとする時、もう一度真似る事から謙虚に始めないといけない。この謙虚さをもう一度見直すためにも、時間を作って、ここ10年くらいストックしたフライヤーなどから気になった文字は臨書するが如く、ノートに書き写していこうと思う。
 
モチベーションが落ちないように、たまにここにアップする予定。
 
*この日、今 敏監督永眠。ショックで途方に暮れていたら、遺言を見て元気づけられた。
ご冥福をお祈りします。合掌。