0722

090722 / days / permalink

松井公民館の階段で、僕がやさぐれた振りをしてキャビンマイルドを吸っていたら、何食わぬ顔して彼はやって来て、隣でタバコに火をつけた。
僕が芝居を書いたとき、彼は誰よりも美しく、優しくその科白を読んでくれた。
千秋楽で拍手をたくさん貰った後の堅い握手。
 
イベントの搬入を嫌な顔せずやってくれたり、独立したばっかの頃、仕事を手伝ってくれたりもした。
夜中にペプシを買いあさったり、思い立って山奥の方に星を見に行ったり、海を見に行ったり…。
 
見果てぬ将来の話に夢中になったり、昔の話を蒸し返したりしながら、朝まで飲んだことも一度や二度ではなかった。お互いに結婚した今だって、それは変わらず、つい先週も朝まで飲んだくれたばっかりだ。
 
そんな彼も、今日めでたく父親になった。
分娩室の外で待つ心境や、初めて子供と対面した心境なんかを興奮気味に語ってくれた。
こんな日が来るなんて、出会った頃は想像もできなかった。
そして、その連絡を受けた僕も、さっき子供を風呂に入れたところだったりして。
 
歳をとるのも悪くない。
お互いタバコをやめたし、科白を読んでもらうことも、もうないかもしれない。
それでも、見果てぬ将来の話に夢中になったり、昔の話を蒸し返したり、の選択肢に、子供の自慢をし合ったり、ってのが加わったりして、楽しく歳とっていこうじゃないの。
 
ともあれ、おめでとう。奥さんおつかれさまです。