0915

50 ANN

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ちめんかのやで開催中の藤原カムイ先生50ANNに行って来た。
 
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藤原カムイは自分の中で鳥山明と双璧を成す漫画家さんで、僕は今なおものすごい影響を受けている。
 
初めに手に取った作品は小学六年の時の「雷火(デラックス版)」で、初のジャケ買い(ビニールに入っていて立ち読み出来なかった気もする)。まさか邪馬台国の話だとも知らずに、剣を持ったカッコいい表紙と、神秘的なまでの造本(装幀は羽良田平吉さん)で、どうしても欲しくって、当時の自分にとってはちょっと高かったけど、少ない小遣いをやりくりして買った。
 
家に帰ってマンガを捲ったときに見返しや口絵の美しさ、絵の美しさ、ダイナミックなストーリー展開などあっという間に虜になった。それからH2O(Image)やクリップ・ドロップ等目についたものは買い漁るといった具合。
 
藤原カムイの作品は、絵の構図やキャラクターの上手さだけではなくって色の感覚(蛍光ピンクやスマルトブルーが大変綺麗で効果的に使われていたり)や作中に出てくる機械やポスター等のデザインセンスも素晴らしくって僕は多大な影響を受けている。(扉のデザインや、ロゴデザインのセンスもそこら辺のデザイナーより遥かにレベルが高い)。勿論、話の発想もすごいし、原作者付のマンガもそれぞれ異なった雰囲気で面白い。
 
でも、当時同級生に話してもほとんど知られていなくって、話題に登ることも無いから情報も乏しくって、自分の中で密かに信仰していた神様のような存在。
 
その神様に今日初めてお会いしました。
 
先生に会ったら、色々聞いてみたいこととかあったんだけど、いざ目前にすると餌を待つ金魚のように、たいしたことが言えず、テンパってしまった。
どのくらい伝わったかは分からないけど、自分が思春期に多大な影響を受けたことや、その影響によって美大に行ったり、デザイナーになったりしたことなどを一通り話して、「まだ駆け出しながら装幀の仕事等もやらせていただいています。いつかお仕事でご一緒出来る日を夢見ております、記念に、というわけではありませんが名刺だけでも受け取ってください。」(←勿論、こんな流暢になんて喋れず;)と名刺を差し出すと、先生は快く受け取ってくれただけでなく、僕にご自身の名刺を差し出してくれた。
 
僕は天にも昇る心地だった訳だけれど、同時に、ただ、ファンで居るだけでなく、今まで色々な刺激を与えてくれた恩返しとして、好きな作家さんとちゃんと仕事上のパートナーとして活躍出来なきゃいかんな、とも思った。人気作家とただのファンの間では、お互いの連絡先の書かれた名刺を交換したりはしないはずだ。
 
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藤原カムイ作品の装幀は、前述の羽良田平吉さん(私が最も尊敬する装幀家です)だけでなく、祖父江慎さんだったり、そうそうたる面子が携わっていて、そのどこに僕が入り込む余地があるのだろう?と思っていたけど、そんなことではいかんね。俄然やる気が出た。
 
50ANNでは、展示してある作品の他に、生原稿やネーム、イラストのラフ等がファイリングされた何冊ものファイルが置いてあって、自由に見ていいのだけれど、初めて単行本を捲った時の感動が蘇って震えっぱなし。鉛筆のラフ書き等は、今まさにキャラクターが誕生しようとしている瞬間瞬間が垣間みれて、試行錯誤の後が伺える。そしてその量が膨大だ。(勿論置いてあるのは一部だろう)
 
あれだけ才能のある人がこれだけ膨大な試行錯誤を繰り返しているのだとしたら、僕はどのくらい頑張らなければいけないんだろう?と一瞬思ったけど、それは間違いで、これだけ膨大な試行錯誤を繰り返した結果が、あの才能なんだ、と思ったら、これまた燃えて来た。
 
今なお感性だけでなく、モチベーションにまで今なお良い影響を与えてくれる藤原カムイ先生に今はただただ感謝です。
そして先生の生誕50年、画業30年、おめでとうございます。
これからも素敵な作品の数々、楽しみにしています。